このページの内容タップして開く
家賃が払えない。来月の支払いが見えない。そういうとき、真っ先に頭に浮かぶのは「借りる」ことかもしれません。でも、その前に確認してほしい制度があります。
住居確保給付金です。返済のいらない、国の制度です。しかも、過去に金融事故があっても、信用情報に傷があっても、関係なく使えます。このページでは、その理由と使い方を、公式情報をもとに説明します。
1. 住居確保給付金とは
住居確保給付金は、生活困窮者自立支援法にもとづいて、全国の市区町村が実施している制度です。離職や収入の減少で家賃を払えなくなった人に、家賃相当額を支給します。
特徴的なのは、支給の仕組みです。給付金は、あなたの手元に振り込まれるのではなく、自治体から大家さんや管理会社へ、直接支払われます。つまり、家賃がきちんと払われることが制度上保証されているということです。
原則3か月、一定の条件を満たせば最大9か月まで支給されます。返済は不要です。
出典:厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000073432.html
2. なぜ金融事故があっても使えるのか
このサイトを見ている方の多くは、審査に落ち続けている経験があると思います。だからこそ、こう思うかもしれません。「どうせ自分は、こういう制度も審査で弾かれるんだろう」と。
そうではありません。理由を説明します。
住居確保給付金で見られるのは、今の収入と金融資産、そして離職や収入減の状況です。信用情報機関(CIC・JICCなど)への照会は行われません。過去の借金、債務整理、クレジットカードの延滞——こうした履歴は、一切問われません。
理由はシンプルで、この制度は「お金を貸す」制度ではないからです。返済を求めない給付なので、返済能力を測る必要がありません。だから信用情報を見る仕組みそのものがないのです。
さらに、給付金は大家さんへ直接支払われます。大家さんから見れば、家賃が確実に入ってくるということです。金融事故の有無は、この制度の可否とは関係ありません。安心してください。
3. 対象になる人の条件
主な条件は次のとおりです。お住まいの自治体によって細部が異なるため、ここでは大田区の例で説明します。
(1) 離職・廃業、または収入の減少
次のいずれかに当てはまることが必要です。
- 離職・廃業の日から2年以内であること
- または、本人の責任によらない就業機会の減少(シフト削減など)で、収入が離職・廃業と同じくらいまで落ちていること
2つ目に注目してください。仕事を辞めていなくても、シフトが減って収入がガクッと下がった場合は対象になり得るということです。「まだ働いているから無理だろう」と諦めないでください。
(2) 収入が基準以下
世帯の収入合計が、基準額に家賃額(上限あり)を足した金額以下であること。大田区の単身世帯の場合、基準額は月84,000円で、これに家賃(上限53,700円)を加えた額が収入の上限になります。
(3) 金融資産が基準以下
預貯金・現金などの金融資産が、基準額以下であること。大田区では次のとおりです。
| 世帯人数 | 金融資産の上限 |
|---|---|
| 単身世帯 | 504,000円 |
| 2人世帯 | 780,000円 |
| 3人以上の世帯 | 1,000,000円 |
ここで見られるのは「今ある貯金」であって、借金の履歴ではないことを、もう一度強調しておきます。
(4) 求職活動などを行うこと
家賃補助を受ける間は、ハローワークへの求職申込みや、区の就労サポート窓口での支援を受けることなどが求められます(後述する転居費用補助では、この求職活動が要件とされない場合があります)。
出典:大田区「住居確保給付金の支給」
city.ota.tokyo.jp
4. いくら支給されるか(大田区の例)
支給額の上限は、世帯人数によって決まります。大田区の場合は次のとおりです。実際の家賃がこれより安ければ、家賃額そのものが支給されます。収入によっては一部支給になることもあります。
| 世帯人数 | 支給上限額(月額) |
|---|---|
| 単身世帯 | 53,700円 |
| 2人世帯 | 64,000円 |
| 3〜5人世帯 | 69,800円 |
金額は自治体ごとに異なります。お住まいの地域の窓口で確認してください。
5. 2025年に新設された「転居費用補助」
2025年4月から、住居確保給付金に新しい支援が加わりました。転居費用補助です。
これは、今の家賃が家計を圧迫している人が、より家賃の安い住宅へ引っ越すときの費用(引越し代、礼金、仲介手数料など)を補助するものです。低い家賃の家に移れれば、その先も住み続けやすくなる、という考え方の支援です。
この制度で特に重要なのは、求職活動が要件とされない点です。通常の家賃補助はハローワークでの求職活動が必要ですが、転居費用補助はそれを求められない場合があります。そのため、年金収入が減った高齢者や、病気などで働く時間を増やしにくい方でも利用しやすくなっています。
なお、敷金・前家賃や、家電・家具の購入費は対象外とされています。対象となる費用の範囲や上限額は自治体によって異なるため、必ず窓口で確認してください。
出典:厚生労働省「住居確保給付金」制度改正(令和7年4月施行)の情報による。詳細は各自治体の自立相談支援機関にご確認ください。
6. 申請の流れと相談窓口
申請は、お住まいの市区町村の自立相談支援機関で行います。いきなり書類を用意する必要はありません。まず電話で相談するところから始められます。
大田区にお住まいの場合、窓口は大田区生活再建・就労サポートセンター JOBOTA(ジョボタ)です。
大田区生活再建・就労サポートセンター JOBOTA
所在地:大田区大森北一丁目11番1号 柳原大森ビル6階
電話:03-6423-0251
受付:月〜土曜 午前10時〜午後6時(祝日・年末年始を除く)
※窓口相談は予約制です。まず電話で相談・予約をしてください。
大まかな流れはこうです。
- 自立相談支援機関に相談する。電話でかまいません。自分が対象になりそうか、この段階で確認できます。
- 申請書類を提出する。本人確認書類、離職や収入減が分かる書類、収入・資産の状況が分かる書類などを用意します。窓口が教えてくれます。
- 自治体が審査し、決定通知が届く。支給が決まれば、給付金は大家さんへ直接振り込まれます。
大田区以外にお住まいの方は、「お住まいの自治体名 + 住居確保給付金」で検索すると、地域の窓口が見つかります。制度は全国で実施されています。
7. それでも住まいが不安なとき
住居確保給付金は、今の住まいを失わないための制度です。でも、状況によっては、これだけでは足りないこともあります。
すでに住む場所を失いそう、あるいは新しく部屋を借りる必要がある場合は、国が用意した別の仕組みもあります。保証人や緊急連絡先を頼める人がいなくても使える制度や、入居を拒まない住宅を探す方法を、住まいのページにまとめています。
相談窓口(自立相談支援機関)は、住居確保給付金だけの窓口ではありません。仕事のこと、家計のこと、生活全般の相談に、事情を分かった上で対応してくれます。一つの制度に当てはまらなくても、別の支援につながることがあります。
まず、相談だけでもしてみてください
家賃が払えないという状況は、それだけで頭が真っ白になります。「もう詰んだ」という気持ちになるかもしれません。
でも、住まいを失う前に動けば、使える制度があります。住居確保給付金は、あなたの過去を問いません。今の状況を見て、住み続けられるように支えるための制度です。
審査に落ち続けてきた人ほど、「どうせ自分は」と思いがちです。けれど、この制度はそういう人のためにあります。まずは電話一本、相談してみてください。それが、立て直しの最初の一歩になります。
よくある質問
過去に金融事故があっても、住居確保給付金は受けられますか?
受けられます。住居確保給付金の要件は、収入・金融資産・離職や収入減の状況などで判断され、信用情報や過去の借金・債務整理の履歴は問われません。給付金は自治体から家主へ直接支払われる仕組みのため、審査に落ち続けている方でも利用できます。
働いていても住居確保給付金を受けられますか?
受けられる場合があります。離職・廃業から2年以内の方に加えて、本人の責任によらない就業機会の減少(シフト削減など)で収入が離職と同程度まで落ちた方も対象です。収入と金融資産が基準以下であることが条件になります。
2025年に新しく始まった転居費用補助とは何ですか?
2025年4月から始まった支援です。家賃が家計を圧迫している方が、より家賃の安い住宅へ引っ越す際の引越し代や礼金などを補助するものです。家賃補助と違い、求職活動が要件とされないため、年金収入が減った高齢者や、病気などで就労を増やしにくい方も利用しやすい仕組みです。
どこに相談すればよいですか?
お住まいの市区町村の自立相談支援機関が窓口です。大田区の場合は、大田区生活再建・就労サポートセンターJOBOTA(ジョボタ)が相談・申請の窓口になります。まずは電話で相談できます。
出典一覧
厚生労働省および大田区の公式情報をもとに整理しています。
- 厚生労働省「生活困窮者自立支援制度」:
mhlw.go.jp - 大田区「住居確保給付金の支給」:
city.ota.tokyo.jp
このページは厚生労働省および大田区が公開している情報をもとに整理したものです。支給額・要件・対象費用は自治体ごとに異なり、変更される場合があります。実際の申請前に必ずお住まいの自治体の窓口でご確認ください。
最終確認日:2026年8月
